結論から言うと、Kiro IDE・Kiro CLI・Kiro Crew は「別々の製品」ではなく、同じ Kiro エージェントを使うための入口の違いです。
- Kiro IDE:エディタで自分がコードを書きながらAI と一緒に開発する(Code OSS ベースの GUI)
- Kiro CLI:ターミナルで対話したり、CI/CD やスクリプトに組み込んで自動化したりする
- Kiro Crew:自分のマシンに常駐させ、記憶・スケジュール実行・複数エージェントの並列実行で仕事を任せる(オープンソース)
料金は3つとも同じ Kiro のプラン(クレジット)を共通で使います。Crew 単体での追加課金はありません。ただし Crew は Kiro CLI の上で動くので、Crew を使う人は実質 CLI も使うことになります。
この記事では、2026年10月9日時点の公式情報(kiro.dev のドキュメント・ブログ・料金ページ)をもとに、3つの違いと選び方を整理します。
本記事は独立した個人ブログによる紹介です。AWS・Kiroによる公式記事、提携・後援を受けた記事ではありません。2026年10月11日に出典表記と設定共有の説明を見直しました。
補足:Kiro には他にも Kiro Web(ブラウザ版、2026年9月 GA)と Kiro Mobile(Preview)があります。本記事では IDE・CLI・Crew の3つに絞っています。
ひと目でわかる比較表
| 項目 | Kiro IDE | Kiro CLI | Kiro Crew |
|---|---|---|---|
| ひとことで | AI エージェント内蔵のエディタ | ターミナルで動く AI エージェント | 常駐して働き続ける開発ワークスペース |
| あなたの役割 | 運転する(自分で書く・レビューする) | 運転する/スクリプト化する | 任せる(委任して後で確認) |
| 画面 | GUI(Code OSS ベース、VS Code 互換) | ターミナル(TUI/ヘッドレス実行) | デスクトップアプリ・Web ダッシュボード・CLI・Slack など |
| 主な強み | Spec 駆動開発、差分レビュー、Agent Focus Mode | CI/CD 組み込み、カスタムエージェント、SSH 先での作業 | 永続メモリ、cron・Webhook・Heartbeat、並列サブエージェント |
| 動く場所 | 手元の PC(クラウドセッションにも接続可) | 手元・サーバー・CI(クラウドセッションも可) | 自分のマシン、またはリモートの自前マシン |
| 対応 OS | macOS / Windows 10・11 / Linux | macOS / Windows 11(PowerShell)/ Linux | macOS / Windows / Linux |
| ライセンス | プロプライエタリ | プロプライエタリ | オープンソース(Apache 2.0) |
| 料金 | Kiro プランに含まれる | Kiro プランに含まれる | 本体は無料。モデル利用は Kiro プランのクレジットを消費 |
| 公開時期 | 2025年7月14日 プレビュー → 2025年11月17日 GA | 2025年11月17日 | 2026年8月4日(オープンソース公開) |
出典:kiro.dev/ide、kiro.dev/cli、kiro.dev/crew、インストールドキュメント
そもそも Kiro とは? 3つの関係を先に押さえる
Kiro は AWS が提供する AI エージェント型の開発ツールです。2025年7月に「Spec 駆動開発」を掲げる AI IDE として登場し、その後 CLI・Web・Mobile・Crew と入口が増えました。
ポイントは、中身のエージェント(ハーネス)は1つに統合されつつあることです。公式ブログ「Which Kiro app should I pick?」によると、以前は IDE(TypeScript)・CLI(Rust)・Web(Python)がそれぞれ別のエージェントを持っていましたが、ACP(Agent Client Protocol)でつながる単一のハーネスに集約されました。
.kiro/ フォルダの設定には、IDE・CLI・Crew の間で再利用できるものがあります。Crew が既存の .kiro/ 設定を読み込むことは、公式製品ページでも説明されています。ただし、各アプリ・バージョンで対応する設定を確認してください。すべての設定の互換性や、ローカル環境とクラウド環境の自動同期を一律に保証するものではありません。作業ごとに入口を選び直す、という考え方です。
ただし Crew は少し特殊です。公式ブログでは Crew を「outer harness(外側のハーネス)」と表現しており、永続メモリや常駐自動化などは共有ハーネスではなく Crew 自身が持っています(将来的に共有アーキテクチャと統合予定とのこと)。Crew は CLI を ACP 経由で動かす「上位レイヤー」とイメージすると分かりやすいです。
Kiro Crew(記憶・スケジュール・並列オーケストレーション)
└─ Kiro CLI(ACP で駆動)
Kiro IDE / Kiro CLI / Kiro Web / Mobile
└─ 共通の Kiro エージェントハーネスKiro IDE:エディタで「一緒に書く」ための本拠地
どんなもの? Code OSS ベースの AI IDE です。VS Code の設定・テーマ・Open VSX 互換の拡張機能をインポートできます。多くの人が「Kiro」と聞いて思い浮かべるのがこれです。
主な機能
- Spec 駆動開発:プロンプトから要件・設計・タスクリストを作り、それに沿って実装。プロパティベーステストで「仕様どおりか」を検証
- ステアリング/フック:プロジェクトのルールを Markdown で指定。ファイル保存などのイベントでエージェントを自動起動
- Agent Focus Mode:複数のエージェントセッションを一画面で管理。長い作業はクラウドセッションに渡して、後で IDE・Web・スマホから確認
- 差分の確認・承認、画像(UI デザインやホワイトボード写真)からの実装、コミットメッセージ生成など
向いている人 普段エディタで開発していて、AI の変更を目で確認しながら進めたい人。チームで仕様を残しながら開発したい人。
Kiro CLI:ターミナルとパイプラインのための Kiro
どんなもの? ターミナルで動く Kiro のエージェントです。2025年11月17日の Kiro GA と同時に登場し、Amazon Q Developer CLI の後継という位置づけです。
curl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bash
cd my-project
kiro-cli主な機能
- ターミナル上の対話チャット(TUI と軽量な Lite モード)
- カスタムエージェント:ツール権限・プロンプト・コンテキストを絞った専門エージェントを作れる
- ヘッドレス実行:CI/CD に組み込み、障害調査や PR 作成を自動化
- MCP、フック、ステアリング、クラウドセッション(v2.17 以降)
- JetBrains IDE、Eclipse、Zed など ACP 対応の他社 IDE からも利用可能
バージョンについて 2026年6月から新エンジンの v3 が Early Access で提供されており、Spec 駆動開発(/spec)やワークフロー機能が CLI でも使えるようになってきています。2026年10月5日の 2.28.0 では、従来の「Classic」セッションから 3.0 への切り替えを案内する機能が追加されました(CLI changelog)。
向いている人 ターミナル中心で作業する人、SSH 先のサーバーで作業する人、AI を CI/CD やスクリプトに組み込みたい人。
Kiro Crew:離席中も働く「チーム」を持つ
どんなもの? 2026年8月4日にオープンソース(Apache License 2.0)で公開された、自分のマシンで常駐するパーソナル AI エージェント/開発ワークスペースです。もともとは Amazon 社内の「MeshClaw」というサイドプロジェクトで、公式発表によると半年足らずで社内の 39,000 人以上のビルダーに使われるようになりました。
公式 FAQの説明を要約すると、IDE・CLI・Web では人が個々の作業セッションを進め、Crew では記憶や定期実行を使って複数のセッションにまたがる作業を続けられる、という違いです。
主な機能
- 永続メモリと学習:好みやプロジェクトの文脈を記憶。修正指示は「レッスン」として残り、繰り返す作業は「スキル」になる(どちらも編集・削除できる Markdown)
- 離席中の自動実行:タイムゾーン対応の cron、認証付き Webhook、PR やデプロイの状態変化を見張る Heartbeat
- 長時間タスク:チェックポイント・検証・リトライで進行(
kirocrew run TASK.mdは 10 時間以上の実行を想定) - 並列サブエージェント:独立した作業を複数エージェントに分けて実行し、結果をまとめる
- いろいろな入口:デスクトップアプリ、Web ダッシュボード、CLI(
kirocrew chat)、Slack・Discord・Telegram・Teams など - Apps:Issue 整理、コードレビューなどの専用 UI。TypeScript/Python の SDK で自作も可能
- 8層の防御:OS サンドボックス、危険コマンドの拒否パターン、認証情報のマスキング、署名付き監査ログなど
kirocrew setup # 対話式セットアップ
kirocrew doctor # 動作確認
kirocrew gateway # http://localhost:5476 でダッシュボード起動向いている人 1つのプロンプトに付きっきりになるより、複数の仕事をエージェントに任せて後でレビューしたい人。定期的な依存関係チェックや CI 失敗の一次対応などを自動化したい人。
料金:3つとも同じプランのクレジットを使う
Kiro の料金はアプリ単位ではなく、クレジット制のサブスクリプションです。IDE・CLI・Crew のどれで使っても同じクレジットを消費します(料金ページ、Billing ドキュメント)。
| プラン | 月額(税別) | 月間クレジット |
|---|---|---|
| Free | $0 | 50 |
| Pro | $20 | 1,000 |
| Pro+ | $40 | 2,000 |
| Pro Max | $100 | 5,000 |
| Power | $200 | 10,000 |
- 日本の請求先住所の場合は別途消費税がかかります
- 有料プランは追加クレジットを 1 クレジット $0.04 で購入可能
- Crew の注意点:スケジュールや Webhook で夜間に動いた作業も、モデルを使えばクレジットを消費します。モデルを呼ばない単純なスクリプト実行ならクレジットは使いません。常駐させる前に、ジョブの頻度やタイムアウトを決めておくと安心です
- 料金ページによると、OpenClaw などのサードパーティ製ハーネス経由で Kiro のサブスクリプションを使うことは認められていません。一方、Crew は公式に利用可能なツールとして明記されています
結局どれを使えばいい? タイプ別のおすすめ
| あなたのタイプ | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| はじめて Kiro を触る | IDE | GUI で差分を見ながら進められ、Spec 駆動開発も体験しやすい |
| VS Code 派で、AI の変更は目で確認したい | IDE | VS Code の設定・拡張を引き継げる |
| ターミナル派/Vim・JetBrains 派 | CLI | ターミナルで完結。ACP 対応 IDE からも使える |
| CI/CD で自動レビューや自動修正をしたい | CLI | ヘッドレス実行でパイプラインに組み込める |
| リモートサーバーで作業が多い | CLI | SSH 先でそのまま使える |
| 寝ている間も CI 監視や定期作業を任せたい | Crew | cron・Webhook・Heartbeat で自走する |
| 複数タスクを同時に回したい/Slack から指示したい | Crew | 並列サブエージェントとチャット連携 |
| セキュリティ要件が厳しく、中身を確認したい | Crew(要検証) | オープンソースなので防御レイヤーをコードで確認できる |
いちばん現実的なのは 「IDE で書き、CLI で自動化し、Crew に定常業務を任せる」併用です。使うアプリ・バージョンが対応する .kiro/ の設定を再利用すれば、ステアリングやスキルの整備を併用時にも活かせます。
よくある質問(FAQ)
Q. Kiro Crew は Kiro CLI がないと使えませんか?
はい。公開時点では Crew は Kiro CLI 上で動作し、Kiro アカウントでの初回サインインが必要です。デスクトップアプリ版では、初回起動時に kiro-cli のインストールとサインインが案内されます。
Q. Kiro Crew は無料ですか?
本体はオープンソースで無料です。ただしエージェントがモデルを使う作業は Kiro プランのクレジットを消費します。Crew 専用の追加課金はありません。
Q. IDE と CLI は別々に契約が必要ですか?
不要です。同じサブスクリプションとログインで両方使え、クレジットの上限も共通です。
Q. AWS アカウントは必要ですか?
不要です。GitHub、Google、AWS Builder ID、AWS IAM Identity Center でサインインできます(kiro.dev/ide の FAQ)。
Q. IDE で書いた Spec を CLI で続けられますか?
CLI v3 では Spec を .kiro/specs/ 配下の共通形式で扱うため、同じワークツリーなら IDE と CLI の間で引き継げると解説されています(AWS Japan の Zenn 記事)。v3 は Early Access のため、今後の仕様変更に注意してください。
Q. Kiro Web とはどう違いますか?
Kiro Web はブラウザから使うクラウド版で、セッションはクラウドのサンドボックスで動きます(有料プラン限定)。Crew は自分のマシンで動かす点が大きな違いです。
まとめ
- Kiro IDE=エディタで AI と一緒に「書く」。迷ったらまずここから
- Kiro CLI=ターミナルで使う・CI/CD で「自動化する」
- Kiro Crew=自分のマシンに常駐させて「任せる」。CLI の上に乗るオープンソースのワークスペース
- 3つとも同じ Kiro プランのクレジットを共通で使い、対応する
.kiro/の設定を再利用できる - 選び方は「どのアプリ派か」ではなく「今の作業で、自分が運転したいか・任せたいか」
Kiro はアップデートが速いツールです。本記事は 2026年10月9日時点の情報なので、最新情報は公式ドキュメントもあわせて確認してください。
参考リンク
- Kiro IDE 製品ページ
- Kiro CLI 製品ページ
- Kiro Crew 製品ページ
- Introducing Kiro Crew(Kiro ブログ, 2026-08-04)/日本語訳(AWS ブログ)
- Kiro Crew changelog 0.1(2026-08-04)
- Crew ドキュメント
- Which Kiro app should I pick?(Kiro ブログ, 2026-08-12)
- Kiro is generally available(Kiro ブログ)
- The Kiro CLI is here!(changelog, 2025-11-17)
- CLI changelog
- Introducing Kiro(Kiro ブログ, 2025-07-14)
- インストール/システム要件
- 料金/Billing
- GitHub: kirodotdev/KiroCrew